平良達郎もランクイン…25歳未満のMMAファイターベスト25【2023】|UFC、ベラトール、PFL、RIZINで闘う若手実力派たち

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The Sporting News

11月上旬、RIZINの鈴木千裕がいち若手の一人からスター選手へと一気に駆け上がったが、今、MMA(総合格闘技)業界では新たなスター候補生が多く育ち始めている。そこでスポーティングニュースでは、エリン・ブランチフィールドやムハンマド・モカエフ、日本からは12月10日の試合でUFC5連勝を狙う平良達郎、RIZIN大晦日大会でフライ級王座獲得に挑む神龍誠など、25歳未満の若手MMAファイターのトップ25人をランク付けした。

本誌格闘技部門エキスパートのダニエル・ヤノフスキーと、専門誌『Sherdog』など格闘技著名メディアでの執筆経験を持つシニア編集者アンドレアス・ヘイルがお伝えする。(編注:本記事は11月上旬に公開された英語記事を翻訳したものとなります)

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今注目すべき新世代のMMAプロスペクトたちを選出(※11/1付)

総合格闘技(MMA)というスポーツは、必ずしも若手ファイターにとって有利なものではない(23歳8か月でUFC王者になったジョン・ジョーンズは例外だ)。25歳に満たない選手たちは、痛みとともに成長し、そのキャリアを成熟させていくものだからだ。

ボクシングとは異なり、MMAのファイターたちは比較的若いうちから試練を与えられる。そのため、連勝記録を積み重ね、25歳になる前に世界タイトルを手にするといった選手は珍しい存在だ。にもかかわらず、MMAの人気は世界的にも上昇中で、多くのファイターが若くしてMMAに挑戦している。

中には、ひと目見ただけでも疑いようのない才能を持ち合わせた選手や、「必要なのは時間と経験だけ」といった選手もいる(かつてUFCフェザー級王座防衛戦の度に成長を見せたジョゼ・アルドのように)。一方で、ポテンシャルを感じさせる「見逃せない存在」と言われながら、何らかの理由でその才能を発揮できないままの選手もいる(連戦連勝からある時期を境に勝てなくなったエドメン・シャバージアンのように)。

そして、最初は世界王者になるようには見えなかった選手が、若いうちに苦戦を重ねることで、世界でも屈指のファイターへと成長していくこともある(コナー・マクレガーら大物選手の当て馬でしかなかった若手時代からUFCフェザー級絶対王者にまで登り詰めたマックス・ホロウェイのように)。

いずれにせよ、MMA業界の将来は明るい。そこでスポーティングニュースでは、11月1日付までに25歳未満で、相応の実績を挙げてきた実力派ファイターたちのリストを作成してみた。

MMAの世界は変化が激しいのが常、このリストに名を連ねる選手たちにしても成功を収める保証はどこにもない。それでも、この先12〜18か月のうちには、ここに名をあげられたファイターは間違いなく、世界チャンピオン、タイトルマッチのコンテンダーとなっていくだろう。

実際、RIZINで戦う鈴木千裕も24歳であり、リストに加わってもおかしくなかったが、その最大のキャリアハイライトが集計に間に合わなかった。

キャリア初期に辛酸をなめながらも成長してきた鈴木は、11月4日に敵地アゼルバイジャンに乗り込み、地元の英雄ヴガール・ケラモフを、下からのパウンドというMMA史でも驚嘆すべき方法で粉砕した。新たなRIZINフェザー級王者は、7月にベラトール現役王者パトリシオ・ピットブルを1RでKOに沈めたことがフロックではなかったことを証明し、このランキングの域を一気に飛び越えるような注目スターとなった。2024年は本記事で紹介するファイターの誰かもそれに続くかもしれない。

それでは、スポーティングニュースが選ぶ「25歳未満のMMAファイター ベスト25」をみていこう。

※2023年11月1日現在で25歳未満かつ、ランク入りする評価実績を持つ選手たちに限る。

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25位:テレザ・ブレダ

  • 年齢:21歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:女子フライ級
  • MMAでの通算成績:7勝1敗
  • ベストバウト:2023年6月、ガブリエラ・フェルナンデス戦(ユナニマス・ディシジョン勝利)

UFC女子フライ級において、身長175cmという恵まれたフレームを持つ21歳のチェコ出身のフライ級ファイターは、昨年、手痛いKO負けを喫したが、それでもすでに3度の1ラウンドKO勝ちを収めた危険なストライカーでもある。このリストの中でも若手の部類に入る、ポテンシャルを感じさせる選手だ。

24位:ビクトリア・ドゥダコバ

  • 年齢:24歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:女子ストロー級
  • MMAでの通算成績:8勝0敗
  • ベストバウト:2022年8月、マリア・シルバ戦(ユナニマス・デシジョン勝利)

24歳のロシア出身のバランスファイター。オープン・ファイティング・チャンピオンシップ(OPC)を経て、UFCに参戦する現在まで無敗の彼女は、2022年にスカウトを目的としたESPN+放送のUFC大会『ダナ・ホワイト・コンテンダー・シリーズ』(以下DWCS)でのマリア・シルバ戦で一躍注目を集める存在に。以来、オクタゴンで2連勝を収め、直近では10月のジン・ユウ・フライ戦において3-0で勝利を収めた。そのフライ戦ではブドウ球菌感染症を隠す嘘をついたことでモラルが問われることになったが、実力だけを論ずれば、この階級でトップに立てるスキルを持ち合わせたファイターだ。

23位:フェリペ・ドス・サントス

  • 年齢:23歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:フライ級
  • MMAでの通算成績:7勝1敗
  • ベストバウト:2023年9月、マネル・ケイプ(ユナニマス・デシジョン敗戦)

『UFC 293』で元RIZINバンタム級王者マネル・ケイプの対戦相手に代役として選ばれた時点では全くの無名だったが、この試合で敗れはしたものの、一桁ランカーを追い込む戦いぶりを披露。元UFCライト級王者チャールズ・オリベイラと一緒にトレーニングを重ねる若きブラジリアンには大きな期待が寄せられており、この衝撃的なデビュー戦を経た今、フライ級選手たちの警戒の的となっていくだろう。

22位:マハシャテ

  • 年齢:24歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:ライト級
  • MMAでの通算成績:9勝3敗
  • ベストバウト:2022年6月、スティーブ・ガルシア戦(1回 TKO勝利)

ここ2試合連敗を喫しているものの、新疆ウイグル自治区出身のマハシャテは素晴らしいファイターになる資質を見せつけている。『DWCS』に参加するまでは、中国WLFを席巻していた23歳のマハシャテのオクタゴンでのベストバウトは、スティーブ・ガルシア戦でのノックアウト勝利。その勢いを取り戻せば、マハシャテはすぐにでもリスト上位に名を連ねるだろう。

21位:神龍(高橋)誠

  • 年齢:23歳
  • 参加団体:RIZIN
  • 現在の階級:フライ級
  • MMAでの通算成績:16勝1敗1分(1戦はノーコンテスト)
  • ベストバウト:2022年11月、ディエゴ・バイバ戦(ニンジャチョークでの一本勝ち)

中学校卒業後の2016年にパンクラスでプロデビューした早熟のファイターである神龍(しんりゅう)は、18歳でDEEPフライ級暫定王座を勝ち取り、2020年からRIZINにも参戦して勝利を重ねてきた。今年7月、元ベラトール(Bellator)・RIZINバンタム級王者の堀口恭司と対戦、ベラトール初代フライ級チャンピオンになるチャンスを手にしたが、不幸なことに、その一戦はアイポークのアクシデントでノーコンテストになってしまった。

レスリングとサブミッションのテクニックに優れ、これまでRIZINの強豪たちを破ってタイトルのチャンスを手にした神龍は、大晦日に行われるリマッチに勝利すれば、RIZINフライ級王座を手にする。さらに上位にランクされるだろう。

20位:ジョシュア・ヴァン

  • 年齢:22歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:フライ級
  • MMAでの通算成績:8勝1敗
  • ベストバウト:2023年6月、ジャルガス・ジュマグロフ戦(スプリット・デシジョン勝利)

プロ3戦目で敗れたものの、ミャンマーの殴り屋『フィアレス』ジョシュア・ヴァンはそこから6連勝を記録。フューリーFCでの圧倒的な戦いを見せたのち、22歳のヴァンは『DWCS』に参加、数週間の準備期間で対戦者の代役を務めることに。そのチャンスをものにして、UFCデビュー戦でジャルガス・ジュマグロフに勝利した。しっかりとした準備期間をもらって、次のオクタゴンでの試合に勝利すれば、その勝利もまぐれではないと証明できるだろう。

19位:ノルベルト・ノベニーJr.

  • 年齢:24歳
  • 参加団体:ベラトール
  • 現在の階級:ミドル級
  • MMAでの通算成績:7勝0敗
  • ベストバウト:2023年6月、カミール・オニスチャク戦(1回 KO勝利)

ノベ二ーJr.はベラトールの注目株だったが、ACL(膝前十字靱帯)の断裂で約2年にわたって戦線を離脱。だが、復帰戦からいきなり1ラウンドKO勝利で連続記録を継続してみせ、故障前の注目を取り戻した。もっと試合が増え、タフな相手を対戦してみないことにはその実力は図り知れないが、このハンガリー人の可能性は間違いなく高いと思われる。

18位:チェイス・フーパー

  • 年齢:24歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:ライト級
  • MMAでの通算成績:13勝3敗1分
  • ベストバウト:2022年5月、フェリペ・コラレス戦(3回 TKO勝利)

どんなに細身だろうとチェイス・フーパーのタフさはお墨付きだ。2016年にパン柔術選手権で金・銀メダルを勝ち取ったフーパーは、2019年にUFCに参加すると、初戦でいきなりダニエル・テイムルをTKOで破るインパクト十分のデビューを飾った。その後のオクタゴンでの戦いは勝ったり負けたりだったが、その間にもテクニックは向上している。11月18日のジョーダン・レビット戦ではグラップラーとしての成長を見せる一本勝ちを収めた。さらなる連勝を飾り、その実力は本物だと証明したい。

17位:フランシスコ・プラド

  • 年齢:21歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:ライト級
  • MMAでの通算成績:12勝1敗
  • ベストバウト:2023年7月、オットマン・アツァイター戦(1回 TKO勝利)

プラドはアルゼンチン屈指の若き才能で、ジェイミー・ムラーキー戦でのタフな敗戦はあったものの、5か月後のオットマン・アツァイターを1回TKOで葬り去った試合で注目を集めた。彼の勝利はすべてがレフェリーストップ(KOか一本)による勝利であり、21歳のライト級ファイターはこの階級で恐れられる存在となるだけの武器と技術を兼ね備えている。

16位:シメオン・パウエル

  • 年齢:24歳
  • 参加団体:PFL
  • 現在の階級:ライトヘビー級
  • MMAでの通算成績:9勝0敗
  • ベストバウト:2022年8月、ジョアン・パウロ・ファグンデス戦(2回 TKO勝利)

『スムース』というニックネーム通り、2022年にPFLに参加して以来、この英国人プロスペクトのキャリアは順調そのものだ。PFLのスカウト大会『チャレンジャー・シリーズ』で名をあげ、パウウェルはPFLヨーロッパのトップスターになった。PFLヨーロッパ・チャンピオンシップの決勝でヤコブ・ネドーを破ることができれば、次の誕生日を前にPFLのチャンピオンとして、このリストでも上位につけることができるだろう。 

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15位:コーリー・マッケンナ

  • 年齢:24歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:女子ストロー級
  • MMAでの通算成績:8勝2敗
  • ベストバウト:2022年8月、ミランダ・グレンジャー戦(2回 一本勝ち)

マッケンナはウェールズに生まれ、様々な格闘技を学ぶ中、15歳でアマチュアのMMAキャリアをスタート。18歳でプロに転向し、21歳でUFCデビューを飾って以来、注目を集め続けている存在だ。コロナ禍の影響で16か月にわたって試合を離れたあとは、ケガやエリース・リード戦でのスプリット・デシジョンでの敗戦もあって伸び悩んだが、直近2試合で連勝を飾って再び女子ストロー級で脚光を浴びている。まだ若いが、その格闘経験値の高さは30代のベテランファイターにも匹敵する。

14位:ヤスミン・ルシンド 

  • 年齢:21歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:女子ストロー級
  • MMAでの通算成績:15勝5敗
  • ベストバウト:2023年8月、ポリアナ・ヴィアナ戦(2回 一本勝ち)

柔術で複数回の優勝回数を持つブラジル生まれのルシンドは、13歳の時に家族を守るためMMAのトレーニングを始め、のちにプロへ転向。2019年にライーゼ・セルケイラを破った試合で注目を集めた。2022年のUFCデビュー戦には敗れたが、8月にポリアナ・ヴィアナをサブミッションで破った試合を含め2連勝。21歳にして20戦を経験し、3つのローカル団体でベルトを手にするなど、すでにベテランの印象を与えるが、2024年を自分の年にしようという意気込みは充分だ。

13位:ダニエル・ゼルフーバー

  • 年齢:24歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:ライト級
  • MMAでの通算成績:14勝1敗
  • ベストバウト:2023年9月、クリストス・ジアゴス戦(2回 一本勝ち)

ゼルフーバーはメキシコで12戦全勝の戦績を残したのち、UFCデビューを果たし、2021年の『DWCS』でルーカス・アウメイダに判定勝ち。翌年、トレイ・オグデンには惜しくも敗れたものの、その後ベテランのランド・バンナータ戦を含めて連勝を重ね、そのキャリアに輝きを取り戻している。所属ジムは、多くのUFC/ベラトール王者を輩出した「エクストリーム・クートゥア」であり、主宰のランディ・クートゥアのもとで次代の王者になるべく鍛錬に取り組んでいる。

12位:キャメロン・サーイマン

  • 年齢:22歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:バンタム級
  • MMAでの通算成績:9勝0敗
  • ベストバウト:2023年7月、テレンス・ミッチェル(1回 TKO勝ち)

6勝をノックアウトでもぎ取り、『MSP(=Most Savage Player、最高にヤバイ選手)』と異名をとる22歳のファイター。直近のクリスチャン・ロドリゲス戦(計量ミスでキャッチウェイト契約に)には敗れたものの、『DWCS』で注目を集めたこの南ア生まれのファイターは、スティーブン・コスロウ戦、テレンス・ミッチェル戦と印象的な勝利を記録。次の試合でも結果を残せば、この先「キャメロン・サーイマン」の名は世界に轟いていくだろう。

11位:ブレイディ・ヒースタンド

  • 年齢:24歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:バンタム級
  • MMAでの通算成績:7勝2敗
  • ベストバウト:2023年4月、バットゲレル・ダナー(3回 TKO勝ち)

レスリングの素養に加え、堅実な立ち技も持つ米国人若手ファイターであるヒースタンドは、ESPN+のリアリティショー『ジ・アルティメット・ファイター』の29シーズンで決勝まで進むも、リッキー・トゥルシオスとの激しい打ち合いにスプリット・ディシジョンで判定負け。その後、2連勝を挙げており、とくにバッドゲレル・ダナーをTKOで粉砕するなど、成長を止めなかった。自身の新たな武器になってきた立ち技をグラップリングと同じレベルまで向上させることができれば、バンタム級の脅威的な存在となるだろう。

10位:ヤスミン・ハウレギ

  • 年齢:24歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:女子ストロー級
  • MMAでの通算成績:10勝1敗
  • ベストバウト:2022年12月、イステラ・ヌネス戦(2回 TKO勝ち)

一夜で3試合に勝利した逸話も持つコンバーテ・グローバル(米国の中堅MMA団体)の王者、ヤスミン・ハウレギはメキシコ・グアダラハラ出身の24歳。15歳の頃、いじめに立ち向かうために格闘技を始めた。2018年のプロデビュー以来、連戦連勝を重ね、総戦績11戦中、5試合で1ラウンドKO勝ちを収めるなど、名うてのストライカーとしてUFC入りを果たした。UFC転向後は2勝1敗、直近の試合でデニーシ・ゴメスに敗れて連勝はストップしたものの、次の試合で復調すれば、すぐにまたこれまでの栄光を取り戻すことができるだろう。

9位:デニーシ・ゴメス

  • 年齢:23歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:女子ストロー級
  • MMAでの通算成績:8勝3敗
  • ベストバウト:2023年7月、ヤスミン・ハウレギ戦(1回 TKO勝ち)

ストロー級の中核選手として期待されていたハウレギをわずか20秒のうちに右のパンチ2本とグラウンドでのラッシュで仕留め、一躍注目の的になったゴメス。直近の試合ではベテランのアンジェラ・ヒルに敗れたものの、ブラジル女子勢の中でも突出した打撃力があり、今後数試合の結果次第ではストロー級のランクを駆け上がっていくポテンシャルを持ったファイターだ。

8位:ヌルーロ・アリエフ 

  • 年齢:23歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:ライト級
  • MMAでの通算成績:9勝0敗
  • ベストバウト:2022年9月、ジョシュ・ウィック戦(1回 TKO勝ち)

『タジク・イーグル』(タジキスタンの鷲)の異名をとるアリエフは、5年前のプロデビュー以来、勝利を積み重ねてきた。昨年9月にジョシュ・ウィックをTKOで破り、UFCの契約を手にすると、正式デビューとなったハファエル・アウベス戦にもマジョリティ・ディシジョンで勝利。強豪がひしめくライト級の中でも確かな実力を持った選手だ。

情報技術を専攻するインテリ学生時代から選手活動を始めたアリエフは、相手を圧倒するグラップリング・スタイルで成功を収めており、この先数年でランクを上げていくと思われる。

7位:ラウル・ロザスJr.

  • 年齢:19歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:バンタム級
  • MMAでの通算成績:8勝1敗
  • ベストバウト:2023年9月、テレンス・ミッチェル戦(1回 TKO勝ち)

アーロン・ピコ以来の逸材と話題騒然の19歳の新星、ラウール・ロザスJr.は華のある人気選手だ。『エル・ニーニョ・プロブレマ』(エルニーニョ級問題児)は17歳のときに『DWCS』で注目を集め、ホワイトが即座に契約するとオクタゴンでも2勝1敗の成績を残している。唯一、クリスティアン・ロドリゲスに敗れはしたが、その勢いは止まらず、9月にはテレンス・ミッチェルに勝利してみせた。

4歳で格闘技を始めたメキシコ系米国人のロザスは、UFC史上最年少契約者として大きな期待を受けており、本ランキングでもさらなる上位にランクする可能性もあったが、その実力はまだまだ未知数にある。来年のお楽しみだ。

6位:ハサン・マゴメドシャリポフ

  • 年齢:23歳
  • 参加団体:ベラトール
  • 現在の階級:フェザー級
  • MMAでの通算成績:9勝0敗
  • ベストバウト:2023年9月、ピオトル・ニードジーススキー戦(2回 一本勝ち)

UFCで無敗のまま惜しくも引退したロシアの強豪ザビット・マゴメドシャリポフの実弟であるハサン。ヨーロッパジュニアチャンピオンシップの金メダリストとして16歳にしてMMA界で脚光を浴びた。スラッとした細身の身体ながら、手足の長さを活かしたファイトで勝利を重ねると、2021年のベラトール参戦後も無傷の4勝を挙げ、現在7連勝を記録している。

引退した兄ザビットがトレーナーとしてバックアップする現在、さらなる飛躍は間違いないところだが、ベラトールがPFLに買収されたため、将来的にどの団体で戦うのかは不透明だ(PFLはベラトールのブランドと全選手の契約維持を表明しているが、いずれ人数を絞ることが予想されている)。しかし、何があろうとも23歳のマゴメドシャリポフを欲しがる団体は多いと予想される。

5位:ルーカス・ブレナン

Sporting News
  • 年齢:23歳
  • 参加団体:ベラトール
  • 現在の階級:フェザー級
  • MMAでの通算成績:9勝0敗
  • ベストバウト:2022年1月、ベン・ルーゴ戦(1回 一本勝ち)

この米国人プロスペクトは、初期UFCや日本のPRIDE武士道など数多の団体を渡り歩いたMMAファイター、クリス・ブレナンを父に持つ2世ファイターだ。ベラトール参戦選手の中ではこの本ランキングの最上位にランクされているが、それには十分な理由がある。

父の元で学んできた23歳の柔術家は、現在ベラトールのフェザー級8位に位置し、ここまで並いる相手選手を打ち倒してきた。しかも判定にもつれ込んだ試合は1戦のみ。その決定力の高さは、現同級王者のパトリシオ・ピットブルをはじめ、この階級の選手たちにとって脅威の的であることは一目瞭然だ。

フィニッシュ技の豊富さは目を見張るものがあり、典型的なリアネイキッド・チョークから、ブレナンがベラトールで初めて決めた選手となったアサシン・チョークまで、多彩なチョーク技を見せている。対戦した選手はすぐに気付くだろうが、ルーカス・ブレナンとグラウンドで戦うのは危険極まりない。

4位:平良達郎

Sporting News
  • 年齢:23歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:フライ級
  • MMAでの通算成績:14勝0敗
  • ベストバウト:2023年2月、ヘスス・サントス・アギラー戦(1回 一本勝ち)

堀口恭司が若き日に挑んだ絶対王者デメトリアス・ジョンソンの離脱以来、閑古鳥の鳴いていたフライ級が、現在のUFCで盛り上がりをみせている。オクタゴンで4勝を挙げている平良の存在もその一因だ。

先駆者の堀口同様に日本の修斗で2018年にプロデビューし、破竹の10連勝を引っ提げ、2022年にUFC入りを果たした。パウンドで決める試合もあれば、サブミッションで極めることもできるバランスファイターで、とにかく穴がないのが強みと言える。

日本のスターは2023年すでに2勝を挙げており、日本時間12月10日の『UFCファイトナイト・ラスベガス83』でカルロス・ヘルナンデスに勝って、年内全勝を目指す。そのまま勝ち星を重ねれば、2024年中にはランキングトップの座についている可能性もあるだろう。

11月上旬にRIZINで一足先に王者となった鈴木千裕とは練習仲間であると同時に友人であり、ヴガール・ケラモフ撃破には、大きな刺激を受けたはずだ。

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3位:マイケル・モラレス

Sporting News
  • 年齢:24歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:ウェルター級
  • MMAでの通算成績:15勝0敗
  • ベストバウト:2022年1月、トレビン・ジャイルス戦(1回TKO勝ち)

モラレスは2021年の『DWCS』で契約を勝ち取ってエクアドル人史上3人目のUFCファイターになると、2022年にはトレヴィン・ジャイルズ、アダム・フューギットを撃破。その勢いのまま、2023年7月にはウェルター級でトップ15クラスのファイター、マックス・グリフィンとの対戦をもぎ取った。この試合、最初のラウンドで遅れをとったものの、その強烈なパンチに加え、終盤の戦いの乗り切る気迫を見せつけ、UFC4勝目をもぎ取り、近代MMA屈指のプロスペクトという評判を証明してみせた。

いまだ負けなしのモラレスは、ファイターとしてもなおも成長中。ウェルター級には強敵が多くないこともあって、来年の今頃はUFC内でトップ10を狙える位置につけることも可能だろう。

2位:ムハンマド・モカエフ

Sporting News
  • 年齢:23歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:フライ級
  • MMAでの通算成績:11勝0敗(ノーコンテスト1試合)
  • ベストバウト:2023年10月、ティム・エリオット戦(3回 一本勝ち)

ダゲスタン共和国出身のモハメド・モカエフは、すでにフライ級屈指の危険な選手と称されるに相応しい実力を証明している。拠点を置く英国において、ブリッティッシュ・チャンピオンシップ、イングリッシュ・ナショナルズでメダルを獲得してきたロシア人は、そのレスリングを武器に勝ち進んできた。ブレイブCFでは完璧に近い結果を残し、2022年にUFCに参戦。すでにオクタゴンでも5勝を挙げている。

グラップラーとしての才能はここまでの11勝中6度の一本勝利で証明されている。チョーク系に限らず、腕を極めることもできるが、これまでで一番の勝利は、狡猾なベテラン、ティム・エリオットを相手に挙げた肩固めでの勝利だろう。

現在フライ級9位のモカエフが、もしここのままフライ級に止まるなら、圧倒的な存在になりうる。2024年3月のUFC初のサウジアラビア大会で同7位アレックス・ペレスとの対戦が決まっており、ここで勝てば2024年末以降のタイトルショットも見えてくるだろう。

圧倒的なグラウンドでの支配力と、逃れることが至難なサブミッションの技術を持ち合わせるモカエフの名は、近いうちにPFPのリストでも目にすることになるだろう。

1位:エリン・ブランチフィールド

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  • 年齢:24歳
  • 参加団体:UFC
  • 現在の階級:女子フライ級
  • MMAでの通算成績:12勝1敗
  • ベストバウト:2月18日、ジェシカ・アンドラージ戦(2回 一本勝ち)

ニュヨークっ子のブランチフィールドは、2021年9月18日のUFCデビュー以来、2年の間に元チャンピオン(ジェシカ・アンドラージ)、成長株(モリー・マッキャン)、元タイトル・コンテンダー(タイラ・サントス)を次々と破り、その力を見せつけてきた。

それでも、彼女のポテンシャルはまだ底知れない。アンドラージ戦やマッキャン戦での勝ち方を見れば、24歳のブランチフィールドがタイトルを意識する日は遠くないと思えたし、サントス戦で苦戦しながらも乗り切ってみせた様を見れば、2024年が終わるまでには女子フライ級タイトルへの挑戦権を手にするのは間違いないだろう。

7歳で格闘技を始めて以来、激しいグラウンドでの戦いぶりと進化を続ける立ち技を武器に快進撃を続けるブランチフィールドは、近いうちにアマンダ・ヌネスやアレクサ・グラッソらレジェンドがひしめく、女子MMAパウンド・フォー・パウンドでもNo.1のファイターとなるはずだ。

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原文:MMA 25 Under 25: Ranking the best young mixed martial artists in 2023 from UFC, Bellator, PFL and Rizin
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版)
編集:スポーティングニュース日本版編集部 神宮泰暁

著者
Daniel Yanofsky Photo

Daniel Yanofsky is a combat sports editor at The Sporting News.

Andreas Hale Photo

Andreas Hale is the senior editor for combat sports at The Sporting News. Formerly at DAZN, Hale has written for various combat sports outlets, including The Ring, Sherdog, Boxing Scene, FIGHT, Champions and others.

石山修二 Shuji Ishiyama Photo

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター