里崎智也が語る『最もバッテリーを組んでみたい投手』大谷翔平の凄さ

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里崎智也 Tomoya Satozaki
スポーティングニュースの独占取材に応じてくれた里崎智也氏
(Takuma Hayasaka)

千葉ロッテマリーンズや日本代表で活躍し、引退後の現在もプロ野球、MLBの解説やYouTuberとして活動の場を広げている里崎智也氏に『スポーティングニュース』が独占インタビューを敢行した。今回はMLBロサンゼルス・エンゼルスで活躍する大谷翔平の凄さについて語ってもらった。

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打たれたら俺の責任やなって人生で初めて思った

里崎智也氏は千葉ロッテマリーンズ、日本代表、オールスターゲームなどで多くの投手とバッテリーを組んできた。そのなかで強烈に印象の残っているのは、誰だったのだろうか。

「僕が受けたなかだと(2006年の)WBC決勝の上原(浩治/巨人ほか)さんが一番良かったですね。サインどおりに構えたところに(ボールが)来る。人生で初めて、打たれたら俺の責任やなって思いましたね」

日米通算748試合に登板し134勝、128セーブ、114ホールドを記録した上原氏のコントロールは、里崎氏から見ても別格だったようだ。

一方で、現役の投手でバッテリーを組んでみたい投手はいるのだろうか。

「大谷翔平(エンゼルス)ですね。おもしろそうじゃないですか。どんな球を投げるのか(捕手として)見てみたい」

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打たれてもこっちの責任じゃないし(笑)

そんな大谷はMLBでピッチコムを利用し自分自身で配球を組み立て、球種を捕手に伝えて投球を行なっている。投球前に左脇の下に手を当てて機器を操作している様子が、中継でもたびたび映し出されているので気づいているファンも多いだろう。これについて捕手出身の里崎氏は「楽でいい」とジョーク交じりに笑う。

「(捕手としては)楽でいいんじゃないですか。打たれてもこっちの責任じゃないし(笑)。どこを目指すのかによりますけど。キャッチャーとしては(リードの)勉強をしなくていいので楽でいいと思いますね。捕るだけでいいので」

それでは、里崎氏から見て大谷の配球はどうなのか? それについては配球云々ではなくシーズンの結果が全てという。

「終わってみて結果が出ていれば、それでいいんじゃないですか」

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ピッチャーがやるとリードとか配球が悪いって責められない

NPBでは一般的に捕手が配球を考え、相手打線の傾向、投手の調子などを加味してサインを出す。しかし今シーズン、大谷とバッテリーを組む捕手は、大谷に対してサインを出していない。野球中継を見ていると解説者から、キャッチャーのリードや配球に関して、その是非が問われることは多々ある。ときには辛辣な意見も飛んでいる。しかし、大谷の配球に関して、球種の傾向などは語られても良し悪しについて言われることはない。その点について、里崎氏は捕手の立場からやや不満もあるようだ。

「あのまま(大谷とバッテリーを組んでいる)キャッチャーの(チャド)ウォラックとかがサインを出して打たれていたら、日本のメディア(や評論家の間)でキャッチャーのリードが悪いって言われますけど、大谷がサインを出してるから打たれてもリードが悪いって言われない(笑)。ピッチャーがやるとリードとか配球が悪いって責められないんですよ。キャッチャーだと責められるのに。この違いはなんなんだろうって思いますね(笑)」

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大谷の凄さは結果を出していること

MLBという舞台において大谷は圧倒的なパフォーマンスを発揮している。打者としてはホームランを放ち、投手としては160kmのフォーシーム(ストレート)やスイーパーにスプリットなど多彩な変化球を投げて三振を奪っている。誰が見てもその凄さはなんとなくわかるだろう。一方で、里崎氏は大谷の凄さをどう考えているのだろうか。

「大谷は何が凄いって、結果を出していることです。結果です。結果しかないんです。プロセスなんて1ミリも関係ないんです。結果を出すからみんなが、その人のプロセスを知りたいと思うわけじゃないですか」

里崎氏は、それはプロ野球の世界に限らず、一般の世界にも共通するものだと力説する。

「大谷の一丁目一番地はなんですかっていったら、誰もやったことのない二刀流で、しかもメジャーで結果を出していることです。結果を出していなかったら誰も取り上げてないですよね。それは経営者でもみんなそうですよ。著書だってそうじゃないですか。結果を出してない人が本を出しても誰も読まないんですよ。結果を出してる人が、その人のプロセスのなかでどういうことを考えているかを(みんなが)知りたいと思うわけです」

里崎氏は大谷の凄いところは『結果を出していること』と繰り返し強調する。プロの世界で最も難しい『結果を出す』ことをし続けている大谷には、辛口で知られる里崎氏も舌を巻くほかないようだ。

前半戦を終えて大谷は2度目のMVP受賞も視界に入るほどの結果を投打で残している。はたして、後半戦もこのまま結果を残し、凄さを見せ続けてくれるだろうか。

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里崎智也(さとざき ともや)プロフィール

鳴門工業高校、帝京大学を経て1998年のドラフト2位で千葉ロッテマリーンズに入団し、2014年までNPBで16シーズンを過ごした元捕手。現在は野球解説者、評論家、YouTuberとして活躍。2005年と2010年に日本一を経験したほか、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では日本代表(現侍ジャパン)の正捕手として世界一に貢献。2008年には北京オリンピックにも出場した。NPBでの主な通算成績は、1089試合出場、打率.256、890安打、108本塁打、ベストナインとゴールデングラブ賞各2回(いずれも2006、2007年)。徳島県鳴門市出身、1976年5月20日生まれ。

取材・編集:勝田聡、丹治宣登(スポーティングニュース日本版)、及川卓磨(スポーティングニュース日本版)
撮影:早坂卓真
協力:林龍也
統括:舛田勇介(スポーティングニュース日本版)

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著者
Satoshi Katsuta Photo

かつた・さとし/東京都出身。複数の業界で営業、経営管理を行ったのち2015年に独立。同年よりNPB、MLBなどの記事作成、2022年からメディアのSNS運用など野球関連の業務を行っている。