寺地、中谷もランクイン【TSN選出】日本人ボクサー・パウンド・フォー・パウンド トップ5【2023年夏版】

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Kenshiro Teraji
(Getty Images)

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9月18日(月・祝)のタイトル防衛戦を間近にする寺地拳四朗と中谷潤人は、試合の度に日本最高のファイターとしてパウンド・フォー・パウンドでの認知度を高めている。では現時点で日本人だけに限ったリストなら、寺地と中谷の実力はどこに位置するのか。

名門誌『The Ring』(リングマガジン)出身の本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが総括する。

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偉大な王者を数多く輩出してきた日本ボクシング界

9月18日、東京・有明アリーナで日本が誇る2人のパウンド・フォー・パウンド・ファイターがそれぞれの世界タイトル防衛戦に臨む。

WBAスーパー、WBC、The Ring誌認定世界ライトフライ級チャンピオンの寺地拳四朗が、元世界2階級制覇王者のヘッキー・ブドラーと対戦する。寺地は史上初の108ポンド(ライトフライ/ジュニアフライ級)級アンディスピューテッド王者まであと2本に迫っており、その技術とパワーは文句のつけようがない。35歳のブドラーは南アフリカ出身のベテランで、過去に大逆転劇を演じている。

また、中谷潤人はメキシコのアルヒ・コルテスを相手にWBO世界スーパーフライ級王座の初防衛戦を行う。中谷は5月の同王座の決定戦で世界トップクラスのアンドリュー・モロニーを撃破した驚異的な一撃により、2023年度ノックアウト・オブ・ザ・イヤー候補となった。25歳の若き王者は、WBA王者の井岡一翔のみならず、WBC王者フアン・フランシスコ・エストラーダ、IBF王者フェルナンド・マルチネスに一矢報いたいところだ。対するコルテスにとって初めての世界戦という重要な試練であり、大きな意味を持つ。

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日本ボクシング界は、長年にわたってファイティング原田をはじめとした偉大なチャンピオンたちを数多く輩出してきた。ここ最近は次々に王者が生まれた80年代を超えるような「ルネッサンス」の時代に入ったような感もある。復活を果たした元4階級世界王者の井岡、バンタム級で長い間チャンピオンの座を守った山中慎介、そして最新パウンド・フォー・パウンドのスーパースターである井上尚弥らが日の丸のプライドをかき立てている。

この「日出ずる国」は、とくに体重の軽い階級で数多くのスーパースターを各所のパウンド・フォー・パウンド・リストに送り出してきた。そしてそれぞれの階級で頂点を狙う新しいボクサーが続々と現れている。

スポーティングニュースでは、独自の日本人ボクサー・パウンド・フォー・パウンド・ランキングを作成してみた。

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日本が誇るパウンド・フォー・パウンド・ボクサーたち

No. 5 重岡銀次朗

  • 年齢:23
  • 戦績:9勝0敗(7 KO勝ち)
  • タイトル:現IBF世界ミニマム級暫定王座

重岡は未来を担うボクサーだ。

プロデビューしてからの4年間で9試合を戦っただけで、すでに『The Ring』誌からミニマム級5位にランクされている。アグレッシブだが防御も巧みなサウスポーである。23歳という若さに似合わない頭脳的なスタイルを持っている。井上に続く逸材であることは誰もが認めるところだ。

直近の試合ではレネ・マーク・クアルトと対戦し、強烈な左ボディブローで7回KO勝ちを収め、IBF暫定タイトルを手にした。ボクシングファンはこの若者の名前を覚えておくべきだ。2歳上の兄・優大もプロボクサーであり、同じ日にWBC世界ミニマム級暫定王座を獲得している。

この日本の新鋭は10月7日、IBF正規王者ダニエル・バラダレスとの団体内統一戦に臨む。

No. 4 中谷潤人

  • 年齢:25
  • 戦績: 25勝0敗 (19 KO勝ち)
  • タイトル:現WBO世界スーパーフライ級王座、元WBO世界フライ級王座

中谷も井上のように破壊力に満ちたパンチ力とスピードに加えて、極めて優秀なリングIQを備えている。172cmとこの階級ではかなりの長身のサウスポーだ。

中谷はフライ級王座を2度防衛したあとにスーパーフライ級へと階級を上げた。パワーが増したことは明らかで、5月にはアンドリュー・モロニー(オーストラリア)から戦慄的なノックアウト勝ちを収め、空位となっていたWBO世界スーパーフライ級王座を獲得した。

まだ25歳という若さだが、9月18日の初防衛戦を成功すれば、パウンド・フォー・パウンドのトップリスト入りも近づく。

関連記事:中谷潤人が初防衛戦後に戦うべき3人の候補|井岡とエストラーダが若きKOアーティストの選択肢に

No. 3 寺地拳四朗

  • 年齢:31
  • 戦績:21勝1敗(13 KO勝ち)
  • タイトル:現WBAスーパー、WBC世界及び『The Ring』誌ライトフライ級王座
Kenshiro Teraji v Hiroto Kyoguchi 11/01
時事/JIJI Press

童顔の寺地は、リングにあがると打って変わって冷酷な悪魔に変貌する。デビュー後10戦目でWBC世界ライトフライ級タイトルを獲得し、「The Amazing Boy」の異名を持つようになった。寺地はライトフライ級に留まって実力を磨く道を選択し、あっという間にこの階級で無敵の存在にまで成長した。

2021年には矢吹正道に10回TKO負けを喫したが、再戦で3回KO勝ちを収めた。プロ唯一の敗戦はバッティング騒動もあったが、寺地が左目上をカットしたあと盛り返せなかった点は、試合前に新型コロナウイルスに感染した影響でパフォーマンスが戻りきらなかったことが大きかったとする見方が有力である。

WBCタイトル奪還後は、アマチュア時代からのライバルである京口紘人を本来の実力でねじ伏せるKO劇で撃破し、WBA王座との2団体統一に成功。続くアンソニー・オラスクアガとの激しい打ち合いにも競り勝った。

元2団体王者ヘッキー・ブドラーとの防衛戦の先に、同階級史上初の4団体統一を見据えている。

関連記事:寺地拳四朗が突き進むライトフライ級史上初の4団体統一王者への道

No. 2 井岡一翔

  • 年齢:34
  • 戦績:30勝2敗1分(15 KO勝ち)
  • タイトル:元WBA・WBC世界ミニマム級統一王座、元WBA世界ライトフライ級王座、元WBA世界フライ級王座、元WBO世界スーパーフライ級王座、現WBA世界スーパーフライ級王座

井岡は2019年に日本人で初めて男子の世界4階級制覇を達成した偉大なボクサーだ(女子は藤岡奈穂子が2017年に達成)。その輝かしい業績はまだ終わってはいない。それどころか新たな幕をこじ開けた。

34歳の井岡はこれまでに世界タイトル戦を24試合戦い、数多くの強豪と対戦してきた。井岡が勝利した相手を挙げると、フェリックス・アルバラード(12回3-0判定)、ファン・カルロス・レベコ(12回2-0判定、11回TKO)、マックウィリアムズ・アローヨ(10回3-0判定)、アストン・パリクテ(10回TKO)、田中恒成(10回TKO)、そしてドニー・ニエテス(12回3-0判定)と、まさに枚挙の暇がない。

そして6月にジョシュア・フランコを下し、王者に復帰。改めてテクニカルボクサーとしての実力を示し、このPFPランキングを上げた。

No. 1 井上尚弥

  • 年齢:30
  • 戦績:25勝0敗 (22 KO勝ち)
  • タイトル:元WBC世界ライトフライ級王座、元WBO世界スーパーフライ級王座、元バンタム級世界主要4団体統一王座、WBC世界スーパーバンタム級王座、WBO世界スーパーバンタム級王座

井上は現在のパウンド・フォー・パウンドで世界最強の一角とされるボクサーだ。その覇権を脅かすのは、井上に先んじて男子初の2階級4団体統一を達成した、ウェルター級アンディスピューテッド王者テレンス・クロフォードだけだろう。

4階級を制覇した『ザ・モンスター』は比類なきスピード、パワー、そして完璧なテクニックを兼ね備えている。2022年末に約半世紀ぶりとなるバンタム級のメジャー4団体の王座を統一する偉業を果たした。

直近の試合では、それまで無敵を誇っていたスティーブン・フルトンを圧倒し、8ラウンドで豪快KOに沈めてスーパーバンタム級2冠をもぎ取った。その底なしのパフォーマンスに、もはや限界はないと思わせた。

WBA・IBF王者のマーロン・タパレスを撃破すれば、ファイティング原田と並ぶ日本ボクシング史上最高の世界チャンピオンという栄誉を受けることになるだろう。


※本記事は国際版記事(著者Tom Gray)を翻訳し、日本向け情報を追記した編集した記事となる。翻訳:角谷剛、編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁
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Tom Gray is a deputy editor covering Combat Sports at The Sporting News.