本誌米国人記者も感銘…日本代表のカタールでの戦いは観る者を魅了した

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クロアチア戦を終え、チームメイトや応援してくれたファンを労う吉田麻也
Getty Images

12月6日、 FIFAワールドカップ・カタール2022決勝トーナメント1回戦、日本代表はクロアチア代表にPK戦で敗れ、惜しくも初のベスト8入りを逃した。

しかし、今大会における日本代表チームの戦いぶりは、海外から見ても特筆すべきインパクトがあったようだ。本誌米国人ベテラン記者マイク・デカウシー(Mike DeCoucy)が伝える。

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グループステージでの躍動、フェアプレー精神、日本がカタールで示した心意気

2022年のワールドカップに出場する前の日本代表チームはさほど世界に知られた存在ではなかった。しかし、私たちはこの国のサッカーが優れた技術と正確性、そして自分たちが世界レベルであるという揺るぎない信念に基づいたパワーを有していることを目撃する機会を得た。

彼らはアスリートとして放った輝き以外のものは何も残さなかった。

彼らの控室は試合後にごみひとつ落ちていなかった。選手たちとスタッフは使った施設を清掃してから立ち去ったのだ。

スタジアムの観客スタンドにも何も残っていなかった。カタールまでやってきた熱烈なサポーターたちは毎試合後にスタンドに残り、会場の清掃クルーを助けて、ほかの観客たちが残したごみを回収したのだ。

日本はかつてワールドカップ優勝経験があるスペインとドイツに勝利し、グループ優勝を成し遂げた。どちらの試合も2対1のスコアだった。日本時間12月6日(火)未明、ノックアウトステージ(決勝トーナメント)1回戦で4年前のワールドカップ準優勝のクロアチアに敗れ、日本サッカー界初のベスト8進出を逃した。

日本代表「SAMURAI BLUE」は、前半終了間際に前田大然がゴールを決めたが、その後の前半残りの1分間、後半すべて、そして30分間の延長タイム、合計76分間で得点をあげることができなかった。

そのため、試合はPK戦で勝敗が決定されることになった。

その経緯を詳しく述べる必要はないだろう。ただひとつの事実はクロアチアが勝利したということだ。

無念の敗退について詳しく語るよりも、私たちは素晴らしい日本代表チームがこのワールドカップで残していったものを覚えていたい。

「私たちが望んだ結果ではありませんでしたが、それでも私たちがやってきたことは何ら変わるものではないと選手たちに言いました」と敗戦後に森保一監督は報道陣に語った。

「ベスト16の壁は破れませんでした。そして、新しい景色を見ることもできませんでした。しかし、日本代表チームがドイツとスペインというワールドカップのチャンピオンになったチームに勝つことができました」

選手たちは日本サッカーの新時代を見せてくれたと思います。そして彼らは(ドイツやスペインのような強豪国を)「追い越す」という考えで次の機会に挑んでほしい ― 森保一日本代表監督

日本は初の準々決勝進出を逃したが、今回のパフォーマンスは以前のものとは何かが変わっていることを思わせた。SAMURAI BLUEがグループ1位突破を果たしたのは20年ぶりのことであるし、今回は明らかに格下チームと見られていたにもかかわらず、長い時間に渡って試合を支配したのだ。

日本が戦った4試合で唯一「ゴール期待値(xG)」と呼ばれる指標で「1」を下回った試合はコスタリカに1-0で意外な敗戦を喫した試合だけである。その後でさえ指標値は「.88」から「.11」だった。

この代表チームには、ヨーロッパのクラブに所属する選手が19人いる。そのうちの13人は「ビッグ・ファイブ」と呼ばれるリーグでプレイしている。世界的なスター選手のような際立った選手はいないが、バランスの取れたチームであり、連携に富んだ作戦が功を奏した。トーナメントでチームがあげた5得点が4人の異なった選手から生まれたことでも分かるだろう。

浅野拓磨はドイツ戦後半で1対1の均衡を破るゴールを決めた。それと同じことをスペイン戦ではミッドフィルダーの田中碧がやってのけた。残念ながらクロアチア戦では(前田大然の先制点に続く)そのようなヒーローは生まれなかった。

日本はワールドカップに7大会連続で出場している。そして直近4回のうち3回、決勝トーナメントに進出している。そしてその度に苦痛に満ちた結末による敗退を繰り返してきた。

2010年南ア大会では、PK戦でパラグアイに敗れた。2018年ロシア大会では、ベルギー戦で2-2の同点で迎えた追加タイムで失点し惜敗した。そして今回だ。

しかし、日本代表チームはさらなる成長の期待を抱かせ、そして大会期間中のスポーツマンシップでも注目された。延長戦にまでもつれ込んだ1試合を含む全4試合で、日本の選手が受けたイエローカードはわずかに6回だけだ。サウジアラビアなどは3試合で14回のイエローカードを受けたのだ。日本は卑怯な戦いはしなかった。

クロアチア戦の後半でトッテナム所属のイバン・ペリシッチにスペースを与えてしまったことは悔やんでも悔やみきれないだろう。ペリシッチは理想的なヘディングでゴールを奪った。もちろんPK戦の結果はそれ以上に悔しいに違いない。

スタンドでは多くの日本ファンが涙を流した。ピッチの上では選手たちの目に涙があった。ワールドカップではたったひとつのチームしか喜びとともに立ち去ることはできない。しかし、日本はプライドを胸に立ち去ることができる。

「毎日……この壁を破るために、4年間、色んなものを取り入れてチャレンジして、やってきたつもりですけど、結果が最後でなくて本当に悔しいですね」とキャプテンの吉田麻也が報道陣に振り絞った。

「この大会のために全力を注いできました。スペインとドイツに逆転で勝つこともできました。このチームとチームメイトを誇りに思います」

原文: Japan's departure from 2022 World Cup against Croatia was brutal, but their time in Qatar was something to see
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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著者
Mike DeCourcy Photo

Mike DeCourcy is a Senior Writer at The Sporting News