メイウェザーが9月RIZINでエキシビション戦、相手の朝倉未来は「格闘家でこのオファーを断る奴はいない」

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Floyd Mayweather vs Mikuru Asakura
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6月14日、格闘技イベント『RIZIN』は、米国ネバダ州ラスベガスからオンラインで記者会見を開き、プロボクシング元世界5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(米国)が、日本で9月に開催予定の大会で、総合格闘家の朝倉未来とエキシビションマッチを行うことを発表した。メイウェザーが日本で試合をするのは、2018年大晦日の那須川天心戦以来となる。

先日、国際ボクシング殿堂入りしたばかりの50戦無敗を誇る元5階級制覇世界王者フロイド・メイウェザーが、2018年12月31日の那須川天心戦以来となるエキシビションマッチを日本で戦うことになった。今度の対戦者は、RIZINの顔役のひとりでもある朝倉未来だ。

簡潔に名前を売ると宣言する朝倉、唯我独尊・独演会のメイウェザー

会見の冒頭、RIZINの榊原信行CEOは、米国のメディアの前でメイウェザーの2度目のRIZIN参戦と、日本のMMAスターである朝倉と対戦することを発表した。榊原CEOは当初、メイウェザーは2021年2月に東京ドームで開催予定だった格闘技イベント『MEGA2021』でエキシビションマッチを行なう契約があったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でイベント自体が延期になり、今回発表の朝倉戦に契約が引き継がれたことを説明した。メイウェザーとはこの試合だけでなく今後も何かしらで協力していきたいともした。

会見に参加した朝倉は、サングラスをかけたまま「僕はMMAファイターなので、今後、世界に名前を売るために(メイウェザーを)利用させてもらいます」と話し、そのためにも「倒します」と強気に言い放った。

簡潔に話した朝倉に対して、一方のメイウェザーはローテンションながらいつも以上にしゃべり倒した。

「私は常に集中しているし、常に最高になることを目指している。世界を旅し、エキシビションを戦って、あらゆる分野の人々を楽しませることは、今でも素晴らしい気分になる。私の仕事はただそこに出て、楽しんで、そして私が最高になることさ」

とにかく自分が最高であることを強調しつつ、「エキシビションを楽しんで、それで勝つ」と宣言すると、あとは自身のキャリアや殿堂入りの自慢話に終始した。あまりの話の長さに呆れた朝倉は会見中にスマホをいじり始め、SNSに愚痴を書き込んだ。

2018年大晦日のエキシビション戦では、メイウェザーが天心を子ども扱いしたうえで1回2分19秒、TKO勝ちを収めているが、戦前から疑問視された体格差が大きかった。発表通りであれば、当時の天心は62.1kg、メイウェザーは66.7kgで約5kg差。身長/リーチでも、天心が165cm/165cm、メイウェザーが173cm/185cmと大きな差があった。

一方、朝倉は177cm、契約体重はフェザー級の66kgとなっており、メイウェザーと近い体格。その点では、天心よりも釣り合った相手といえる。

もっとも、朝倉の映像を確認するか聞かれたメイウェザーは「まったく見ないし、見る必要がない」と切り捨てており、『誰が相手でもオレこそが最高、オレこそがキング』とでもいうような態度で興味も示さなかった。メイウェザーが総合格闘家と拳を交えるのは、2017年8月のコナー・マクレガーとの公式戦以来だ。朝倉が本気でやりたいなら「金を出せば、5ラウンドでも8ラウンドでもやる」とうそぶいた。

メイウェザーはそのマクレガーに10回TKO勝ちを収め、50戦50勝無敗のまま現役を引退。以降、プロモーターや実業家のかたわらエキシビションマッチを行なっている。2018年の天心戦後は、2021年6月にお騒がせ系YouTuberのローガン・ポール(米国)と、今年5月21日にはUAEで元練習パートナーだったドン・ムーア(米国)と対戦している。

天心戦に怒りを覚えた朝倉、格闘家なら断る奴はいない

会見の第2部は日本国内向けに行なわれた。RIZIN陣営としてはメイウェザーとのマッチアップで誰が相応しいかというと日本では朝倉未来しかいなかったとし、朝倉自身も2年ほど前から話があったことを明かした。「天心との試合を見たときも怒りみたいなものがあった。タダでは返すつもりはない」と話した。

一方で、ボクシングという競技、元5階級制覇王者であることに対しては「リスペクトがある」と話し、メイウェザー戦後のMMAファイターとしての自身の青写真も語った。MMAとボクシングのスタイルの差に関してはさほど意識してはおらず、「むしろMMAキャリアにおいて収穫になる戦いになる」とした。

朝倉は自身のYouTubeチャンネルにも動画を投稿し「僕はMMAファイターなんで賛否両論あると思うんだけど、格闘家でこのオファーが来て断る奴はいないでしょ」と、正直な気持ちを話した。また、試合に向けての感触として、身体は80kg近い自分の方が大きいことや、MMAの軸を保ちつつもパンチだけは練習しようと思っていると話すなど、今後のプランを明かしている。

朝倉は榊原CEOとともに今年5月に世界最大の総合格闘技イベント『UFC』のダナ・ホワイト代表のもとを訪れ、拠点となっているラスベガスで武者修行を行なっていた。メイウェザーとのエキシビションを経て、UFCデビューという世界的スターへの道を目指しているのかもしれない。

朝倉vsメイウェザー戦は、公式の有料動画配信サービス『RIZIN FIGHT PASS』で中継を予定。試合の日程とルールに関しては今月後半頃に決定次第、発表される。

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著者
神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。